言わないと分からないよね

こんにちは、あら坊です

昔牛乳配達のアルバイトをしていたことがありました。

バンドがやりたくて新卒で入った銀行を退職した私は、その後塾で仕事していました。
ただ、そのときの雇用形態が契約社員みたいなアルバイトでして、給与は時給(1コマ90分のコマ給)制でした。

塾というのは結構季節ものでして、新年度の時期は生徒が少なく、一時期手取りが12万切ってたときがありました。

その頃の私は一人暮らししておりまして、
月々の家賃、水道光熱費、大学の教育ローン返済(月1万、年2回ボーナス月には6万返済←これがきつすぎる)の支払いがあり、さらにバンドのスタジオやら、ライブのノルマで貯金はできず常にお金がすっからかんでした。削るとしたらいつも食費代。

そこで空いた時間でできる副業として早朝の牛乳配達アルバイトを始めました。
週2回、早朝ということで比較的負担少なく、塾は13~14時頃から仕事なのでダブルワークは難しくないと思ったからです。

世の牛乳配達も色々かと思いますが、私がやってたのは軽トラック(赤帽みたいな車)のようなもので、朝の7時ぐらいから11時までに60~70件のお家の玄関先まで牛乳を配る、というものでした。

スーパー行けばわかりますが、牛乳の種類にもいろいろ違いがあります。
自分が宅配する牛乳も10種類くらいあり、それぞれの家で宅配する牛乳の種類も、本数も違うため、採用後仕事内容が想像していたよりもはるかに難しいことがわかりました。
なんせ一度、配達した牛乳の種類、本数を間違ってしまうと、間違ってた(と思われる)家まで戻らないといけないからです。

仕事を始めたばかりのときは牛乳の種類のミス、本数のミスを連発し、配達がお昼の12時過ぎに終わるということはざらでした。そのため、配達される家側から「遅い」とクレームが来て、直接研修してもらっていた社長からはかなり目をつけられていました。

ちなみに配達に時間がかかると自分にもメリットがありません。
というのも給与は時給制ではなく、配達一回分でいくら、というカウントなので、
配達に時間が掛かってしまうとその分時給換算で安くなるからです。

かなり辛く、最初の時点で辞めたくなったのですが、それも癪だし、
そもそもお金が切実に足りなかったので簡単に辞めるわけにもいきません。
そのため仕事のない日は配達コースを運転するイメージトレーニングまでして、早く仕事を覚えようとしていました。

そんな感じでがむしゃらにやっていた1ヶ月目頃のある日です。
やっと独り立ちでき、任されたコースで宅配中に、それは起こりました。

その日は暑かったのですが、一軒の配達先の前で配達車を停車させ、牛乳を配達し戻ってきたところ、一人のおばあさんが車の横で倒れていました。

停車させる前から「フラフラしてるな、あの杖のおばあさん」と嫌な予感はしていたのですが、案の定戻ってきたらご丁寧にもわざわざ自分の車の横で倒れてました。

「大変だ」ということでパニックになりながらも、おばあさんの外傷だったり呼吸確認しました。
目立ったケガもなく、また呼吸もしていたので、熱中症のような感じだなと思いました。

周りに人もおらず、配達先の家も留守のようだったので、近くの電柱に書いてある住所を頼りにすぐに119番に電話掛けました。(8年前の話です。今じゃ考えられませんが、当時はiPhoneもないので、周りの標識頼りに住所調べたのです)

電話を終え、とりあえずおばあさんの横で声をかけたりしてたところ、突然どこからか現れたおじさんが駆け寄ってきて、
「どうしたんだ!」と、訝しそうな目で強く自分を睨んできました。

「いや、横で倒れてたんです!」と自分が言っても怪訝そうな顔。
まあ状況からして、自分が轢いたと思ったんでしょうね。

すると野次馬が続々登場。
人「どうした!?」
自分「車の横で倒れてたんです!」
人「どういうこと?」
自分「この家の前で配達してたところ戻ってきたら倒れてたんです!」
と言っても、もう同じく怪しむ顔。
このやりとりをおじさんおばさん問わず3〜4人にしました。

続々と現れる地域の人々に囲まれる私、そして救急車が一向に来ない。
気まずい空気が延々と漂う感じ。
耐えられず念のため周りの人に住所確認したところ、どうしてだったか覚えてませんが地名を間違えていて、再度電話してやっと救急車が来ました。

これまでの間約45分。
ホッとしたものの、救急隊員も自分を怪しんだのか、色々連絡先など聞かれさらに配達が遅延しました。

目標時間をとっくに過ぎたため、社長に「こういうことで遅れてるんです」と伝えたところ
「お前が轢いたんじゃないだろうな?」と言われて、ムカーッとしつつも「冷静になれ!」と無理やり落ち着かせ、結局通常の2時間遅れの13時に配達終了しました。

配達も遅れ、社長にもぐちぐち言われ、「人助けしたのに、こんなに疑いの目を掛けられるのって世の中て何て理不尽なのだろうな!」と強く思いました。
まあ別にあの状況なら疑われるのもしょうがないのだけど、自分の「助けてあげた」という気持ちと周りの評価が相反するものなので、そこのギャップにすごい困惑したことを覚えています。

以降今でもニュースなど見ていて何かあったとしても一様に断定する人は好きじゃありません。
割と最近でも国会に集まって政府を非難する人も、その集まった人を非難する人にも肩入れできないのが、(そもそもその時々のイシューに詳しくないのもありますが)「なんか裏の事情があるんだろうな」と常々思うクセがついたのが大いにあります。
言い訳ですけど。

後日、自分の住んでるアパートに手紙が入ってました。
「先日はありがとうございました、母は熱中症で倒れていて、今は回復しております。住所はどこどこなので、牛乳2本取りたいと思います。」
そのおばあさんの息子さんからでした。

「あ〜、無事でよかったですね。」と思ったものの、牛乳2本取りたいというのは、上には報告しませんでした。
感謝の気持ちでそう申し出たのは分かるものの、そういうつもりで助けてもないし、あとただでさえ宅配ルートを時間内に回れていないのに、さらに新しい箇所が加わるのは大変だと思ったからです。

結局その仕事は一年続けました。
車の運転も得意になり(特にバック駐車!)、配達も早くなったものの、雪の日には配達車の後ろのバンパーを電柱にかすったりして、結局社長には最後まで目をつけられていました。

後々になって「あのおばあさんを助けて遅くなった日、おばあさんから感謝されて牛乳配達申し込まれていたんだぞ!」と言いたくなりましたが、結局誰一人にそのことを言わずそこを辞めました。
(ちなみにつけ加えると、ちょうど塾で副教室長として社員になったため忙しくなってできなくなったというのもありました。それで給与面もそれで若干安定。)

まあ、そもそもなんで書こうかと思ったのかというと今日「言わないと分からないのかな」と思ったことがあって、「そういえば..」と偶然思い出したからで。

世の中言わないと分からないことはたくさんあると思うのですが、
「わざわざ言わないといけないのも野暮ったいな」と思うことも多々あると思います。

でも言わないと分からないのです。
そういうのを押し殺している人は、気づいてもらおうとそれとなくヒントを発していると思うのですが、言われる側は気付かないことの方が多いです。というかほぼ90%間違いなく気付かないと思います。私もそれなりに生きてきたので、言う側、言われる側に立った経験も多いですが、言われる側の場合本当に気づいておらず、申し訳ない気持ちになることも多々です。

なのでそういうのにイライラするくらないなら早めに言った方が双方楽かもしれない、というお話でした。
雑なまとめ方ですみません。今度はちゃんとバンドの話書きたいな、と。